【令和4年度】簿記論・財務諸表論 同時合格体験記|勉強時間・通信講座・当日の戦略を公開

税理士試験

簿記論・財務諸表論を同時受験した理由

簿記論と財務諸表論は、税理士試験の中でも「計算と理論が融合した基礎科目」です。

出題範囲も一部重なるため、多くの受験生が同年度での同時合格を狙います。

私も令和4年度に、簿記論と財務諸表論を同時に受験し、無事にダブル合格を果たしました。

勉強時間とスケジュール

勉強時間は、11月上旬から勉強を開始して簿記論と財務諸表論を合わせて約900時間。

計算、理論暗記、講義の時間を合計したものです。

参考までに、私は簿記2級を平成25年に取得している程度の能力です。

おおまかな内訳は以下の通りです:

平日:仕事の前に3時間、夜に1.5時間

休日:5~8時間を確保

試験直前期(6月以降):1日平均8時間前後

平日4.5時間、休日5時間以上

働きながら確保するには、あまり現実的でない時間かもしれません。

当時は、息子も3歳でまだまだ手のかかる時期、私も一緒にいたいと思う時期です。

これにはちょっとしたカラクリがあります。

私は、当時の職場が東京で自宅(栃木)から通勤時間が2時間以上かかる場所でした。

往復4時間、電車内往復3時間30分くらいありました。

始発で出発すれば、朝6時半過ぎには東京に到着します。

東京のスタバは、その時間から営業しておりそこで1時間半勉強させていただきました。

休日は、朝早く起きて3時間勉強して、日中は妻と相談して2時間以上勉強させてもらいました。妻に感謝ですね。

ただ、息子との時間がほぼない状態だったのが心苦しいかったです。息子に悪いというよりは、自分が息子のことが大好きなので自分が一緒にいたいと思っていたのに、それができないという感じですね。

ただ、このまま役人続けていても先が苦しい(収入ではなく、労働環境の問題で私が潰れる)ので、家族のためにも勉強すると自分に言い聞かせていました。

スケジュールのイメージ:

11月~4月まで:講義動画+基本問題

4月~本番直前:答練中心、理論暗記

直前2か月:過去問演習+模試形式の演習

勉強スタイルと使用教材

私は独学ではなく、通信講座のスタディングを利用しました。

スタディングのメリットは:

スマホで受講できるため「スキマ時間の活用」が可能

必要教材がすべて揃っており、市販テキストの買い足し不要

AI問題集で反復練習が効率的

が、謳われていますが実際には、通常の講義や基礎問題の量は十分ですが、答練の問題量が少ないこと、模擬試験がないことから別途追加購入しています。

追加購入は次のものでした。(簿記論、財務諸表論共通)

・全国統一模試(TAC、大原、LEC)

・市販予想問題(ネットスクール)

理論暗記ツールはあまり使いこなせた印象がありません。そもそも、税法で経験した理論丸暗記をせずに合格してしまいました。

私は運よく、答練や総合問題集で出題された理論テーマが本試験に出たのと、そもそもその年の財務諸表論が計算重視の問題が出たためです。

勉強内容といえば、非常に地味ですが

計算編

「基本問題を繰り返し解く」これに尽きます。

まずは、3回連続で正解するまで繰り返し解いて、3日間をあけてまた解きます。

そのあと1週間間をあけてまた解きます。

不正解なら2回連続で正解するまで解きます。

計算過程を必ず書いてアウトプットして、必ず電卓も手を動かします。

そんなに解いたら答え覚えて勉強の意味ないじゃんと思うかもしれませんが、そんな杞憂に意味はないです。

学習量と問題数が多すぎて、答えの数字を覚えたとしても計算過程までは覚えていられません。実際に手を動かすスタイルの勉強方法なので頭で覚えているだけでは完結できません。それに、計算過程まで暗記できたのならもう体で覚えている状態になっていると思います。

理論編

理論暗記ツールを読みますが、スマホ画面上では全然頭に入ってきません。赤シート機能のようなものがありましたが、私とは相性よくありませんでした。

そもそも、答練や模試で出たところが出題されるだろうとたかをくくっていたのであまり理論暗記やっていませんでした。ただ、答練、模試で出題された範囲は暗記していきました。

このときから、暗記は書いて覚える派でした。読んで書いて時間がかかりますね。

直前期

このころからひたすら答練を解き続ける時期になります。

毎日2~3問答練の計算問題を解き続け、理論問題は問題と解答を暗記します。

結局答練は、問題にもよりますが5回から8回は繰り返し解きました。最後は、制限時間が余るくらいのスピードと捨て問以外は正解できるくらいの正確性にまで仕上げることができていました。

このころに全国模試を受けることになるのですが、当時は簿記論も財務諸表論もB判定、C判定だったはずです。

もちろん、模試も繰り返し解いて、模範解答の計算過程を完全復元できる精度にまで仕上げます。

文章にすると地味ですが、時間もかかるし間違えるし本当に合格できるのか不安になるし暗記できないしで、ものすごくストレスがかかります。

試験当日の印象と戦略

試験当日は会場の受験者数が非常に多く、独特の緊張感がありました。

呼吸が荒くなります。受験本番のあの人生かかってる感は、何度受験しても慣れないですね。

問題ボリュームも例年通りかなり多く、「全問完答は難しい」という印象。

答練や問題集を繰り返すうちに、計算問題だけですが、スピードや正確性が上がっており、無意識レベルでペンが走る状態になっていました。

意識した戦略:

計算問題を優先し、確実に得点できる箇所から解く

難問に時間をかけすぎず、ミスを防ぎつつ処理スピードを上げる

理論問題は「書ける部分から埋める」スタイルで対応

この戦略により、大きな失点なく試験を終えることができました。

合格した時の気持ちと学び

試験後の自己採点で合格ボーダー(合格確実ではありません)を超えていたため、発表前から「おそらく大丈夫だろう」という感触はありました。

そのため、合格を知った瞬間は「うれしい!」というよりも、大きな安心感・ほっとした気持ちが強かったです。

子どもも産まれ3歳になった頃、妻には大きく負担をかけていましたから、合格できてよかったです。

ただし、この時は簿記論・財務諸表論ともに理論暗記に多くの時間を割かずに済んだため、理論暗記の本当の大変さを理解していませんでした。

そのツケは翌年以降の税法科目(法人税法や酒税法、固定資産税、国税徴収法※)で回ってきて、理論暗記の苦しさに直面して大苦戦することになりました。

※国税徴収法は、相性が悪いと思い撤退しています。

この経験から学んだのは:

「理論暗記は早めに習慣化しないと後で大変になる」

「会計科目の合格はあくまで通過点であり、油断すると後で苦労する」

という2点です。

同時合格を振り返って

簿記論と財務諸表論を同一年度に受験するのは大きな挑戦でしたが、範囲が重なる分、効率的に学習を進められるメリットもありました。

勉強を続ける中で痛感したのは:

毎日の積み重ねが必須(1日休むと不安になる)

問題演習で「手を動かすこと」が理解の近道

通信講座でも十分に合格可能

そして何より、合格を「ゴール」と捉えず、次の税法科目に向けて気を引き締め直すことの大切さを実感しました。

これは、簿記論、財務諸表論に合格しているから当時を振り返って実感したものですが、勉強している当時にこんなこと言われても、目先のボザイ合格が辛すぎてあまり響かないと思います・・・

まとめ

簿記論・財務諸表論を同時に合格するには:

合計900時間前後の勉強時間を確保する

通信講座や予備校を活用し、効率的に進める

当日は計算優先・時間配分重視で戦う

合格後も「理論暗記への備え」を忘れない

この5点が特に重要だと感じました。

「働きながらの勉強でも、正しいやり方を続ければ合格できる」ということを、自分の体験を通じて強く伝えたいです。

とは言いつつも、年900時間を確保するスタミナと精神力と家族の理解が必要で、絶対これで合格できますと胸を張って言えるようなものではないです。

何度も心が折れそうになって、というか、折れて繋いでを繰り返して本番まで耐えたという表現が正しかったような気がします。

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